

発行/講談社
作・絵/佐野洋子
絵本作家・エッセイスト。北京に生まれ、武蔵野美術大学デザイン科卒業後、ベルリン造形大学にてリトグラフを学ぶ。主な作品に『おぼえていろよおおきな木』『おじさんのかさ』などの絵本や、『神も仏もありませぬ』『シズコさん』『死ぬ気まんまん』などのエッセイ集がある。2003年紫綬勲章受章、2008年巖谷小波文芸賞受賞。2010年、72歳で逝去。
本の紹介/
100万回も死んで、100万回も生きたねこがいました。
誰からも愛されて、誰のことも好きじゃなかったねこ。死ぬのなんて平気でした。
そしてねこは誰よりも自分のことが好きでした。
そんなねこが、ある一匹の白い美しいねこに出会って……
ねこにとって、100万回生きることもおよばない、ただ一つのかけがえのないものとは何だったのか?
その答えが、この不思議な絵本にははっきりと書かれています。あふれる涙をぬぐいながら、一生忘れられない作品になるだろうと確信するのは、その答えが真実だからなのでしょう。
はたして自分はそのかけがえがないものを、死ぬまでに手に入れられるのだろうか…?
そんな問いを突き付けられ、丸裸にされたようで、少しこわくなってしまうほど。
人生のどの時期に出会うかで、読み方が変わってくるであろう、永遠の名作です。
本を選んだ人/
[名前]
大塚亜依
[肩書]
編集者・ライター
[プロフィール]
子どもの頃から本が好きで、言葉のもつ力に助けられてきました。編集の世界に入ったのは、本や言葉の近くにいたかったから。編集プロダクション「エディマート」に8年ほど勤め、今は子育てをしながら、フリーランスで編集や執筆の仕事をしています。本屋さんと図書館が大好きで、本とノートとペンを持って喫茶店で過ごすのが何よりの楽しみ(地味…!)。言葉の力を感じられて、元気や勇気やいろいろな感情をもらえる本、暮らしや仕事、生きることが楽しくなる本、子どもにも大人にも届けたい絵本などを中心にセレクトします。