発行/東急エージェンシー
著者/岩崎俊一
本の紹介/
2014年に逝去した名コピーライター岩崎俊一さんのコピー&エッセイ集。
「年賀状は、贈り物だと思う」
2007年の冬。
著者が手がけた、日本郵便の年賀状キャンペーンのこのコピーに出合ってから、私は年賀状を書くことが年末の楽しみになりました。様々な通信手段の普及により、小さくなった年賀状文化の灯。いつか消えてしまうのではないかという世の流れに、その意義をやさしく問うような、個人的に忘れられないコピーです。
本作には、2009年に出版された「幸福を見つめるコピー」から、それ以降の新作や、前回収録されなかった旧作、エッセイも新たに加えられています。もちろん、この名コピーも収録されています。
「幸福になること。人は、まちがいなく、その北極星をめざしている。(中略)コピーも例外ではない、といばるつもりはないが、少なくともここをめざして書かなければいけないと、ずっと思ってきた。」と綴られた序文は、著者の人柄に触れるようで続く名作と同様に胸を打ちます。
さらに、2009年版にはなかった著者の手書きノートが、扉の裏に印刷されています。その逡巡の爪痕がまた、言葉を紡ぎ出す難しさと喜びを教えてくれるようです。
本を選んだ人/
[名前]
甚沢里絵(じんざわりえ)
[肩書]
ライター、心を整えるノートレッスン主宰
[プロフィール]
書くことって、楽しい。それに、自分をご機嫌にしてくれるもの。幼い頃からそう信じて、ライターという職に就きました。現在は、「わたしも家族もご機嫌な毎日」をモットーに、暮らしと書くことを研究中。屋号はcacoute.(書こうと、書く音)。「心を整えるノートレッスン」を不定期で開催しています。https://www.cacoute-kakinotane.com