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発行/文藝春秋
著者/司馬遼太郎
小説家、ノンフィクション作家、評論家。産経新聞文化部に勤めていた1960年に『梟の城』で直木賞受賞。1966年『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を始め、数々の賞を受賞した。歴史小説を一新する話題作を続々と発表し、1993年には文化勲章を受章。“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめた。1971年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。享年72歳。
本の紹介/
16世紀末、朝鮮の役で薩摩軍により日本へ拉致された数十人の朝鮮の民がいた。以来400年、望郷の念を抱きながら異国薩摩の地に生き続けた子孫たちの悲しみの詩「故郷忘じがたく候」のほか、 明治初年に少数で奥州に遠征した官軍の悲惨な結末を描く「斬殺」、細川ガラシャの薄幸の生涯「胡桃に酒」の3編を収録した短編集。
表題作である「故郷忘じがたく候」は、作中の人物の目線から描くのではなく、司馬遼太郎本人の目線から描いており、司馬遼太郎作品の中でも異彩を放つ一作。ドロドロとした恨みつらみが描かれていると思いきや、朝鮮の民のしんみりとした哀しみが、じんわりと伝わってきます。
3つの短編を通して、故郷とは何か、民族とは何か、という問いを考えるきっかけになる一冊です。
本を選んだ人/
[名前]
徳川家康
[肩書]
名古屋おもてなし武将隊
[プロフィール]
日本人ならではの“おもてなしの心”とSAMURAIカルチャーを世界に発信するために、名古屋城を拠点にさまざまな活動を行っている「名古屋おもてなし武将隊」の一員。
甲冑ダンス、寸劇、口上、和太鼓演奏などの「おもてなし演武」で、見るものすべてを戦国時代へと誘う。